忍者ブログ

whole issue

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ベクトルBの加速度指向性・4 ※R-18

※R-18、陽介女体化(後天)注意
今度はセンセイのターン!バスケ部部室でうにょうにょです。
なんかもうホントすみません…。どうしてこういう展開になってしまうのか。センセイが欲望に素直すぎるよ!

------------------------------------------------

下校時刻をとうに過ぎた昇降口は薄暗く、電気も点いていない。町は夜の帳に包まれ、月が中点で頼りなげに山間の地を照らしている。校内で明かりが付いているのは体育館と職員室だけで、この時間に学校にいるのは余程熱心な運動部員か、何か目的のある者くらいだ。
暗闇に紛れるようにして、二年生の靴箱の前に小柄な影が三つ現れる。シルエットから女生徒だということは分かったが、運動部には見えなかった。彼女達は誰もいないのを確かめるように何度も何度も辺りを見回すと、やがて一人が意を決したようにある箱に手を掛けた。しかし中を見た瞬間に動きを止める。
「――ねぇ、何、してるの?」
階段の影から突如として聞こえた男の声に、文字通り彼女達は飛び上がった。弾かれたように振り返れば、闇に浮かび上がるシルバーグレーが目に入る。そこには端正な顔に凄絶なほど酷薄な笑みを浮かべた月森孝介の姿があった。得体の知れない恐怖を感じ、女生徒は身を震わせる。
「そこ、オレの彼女の靴箱なんだけど。こんな時間にコソコソと他人の靴箱開けて、何するつもりだったの?」
カツリ、と硬質な足音を立てて孝介が一歩近付く。彼女らは本能的に後ずさろうとしたが、体が竦んでその場から動くことができなかった。冷汗をだらだらと流しながら、一人が凍ったように硬直した舌をなんとか動かして答える。
「べ、別に、何も…」
「へぇ。じゃあコレは?」
孝介は女生徒が握っていた絵の具のチューブをひょいと奪い取り、見せつけるように眼前に翳した。彼女らは必死に弁明をしようと口をぱくぱくさせているが、言い訳など聞きたくないとばかりに孝介は畳みかけるように言う。
「一年二組、鳥羽明子サン。前にオレにラブレターくれたよね。好きな人がいるからって丁重にお断りしたつもりだったんだけど。…陽介がお前に何かしたか?何もしてないのにオレと付き合ってるのが気に食わないから嫌がらせするのか?自分が同じことをされたらどう感じるか、考えたことはないのか?」
向けられる絶対零度の糾弾に、女生徒はがたがたと震え答えることすらできない。その後ろで縮こまっていた二人に孝介は侮蔑の視線を投げつけた。
「オトモダチの藤井真里菜サンと、秋山律子サン。トモダチなら、止めるべきなんじゃないのかな。それとも弱みでも握られてるの?間違ってることを間違ってるって言えないような上辺だけの関係なら、トモダチなんてやめちゃいなよ。ああ、それとも自分達が間違ったことしてるっていうのすら分からない?」
「なっ…!」
気の強そうな一人が反論しかけるが、孝介はシャドウすら射殺す気迫で一喝した。
「お前達がやろうとしたのは、直接的じゃなくても暴力だ。恥ずかしいと思え!」
びりびりと空気が震える。あまりの威圧感に先頭にいた女生徒はその場にへたり込んで泣き出した。孝介は心底面倒臭そうに言い捨てる。
「自分の言動には責任を取れ。オレはお前達がしようとしていたことを忘れないし、許さない。オレ達のことが気に食わないなら、こんな卑怯な手段じゃなくて直接オレに言ってこい。いくらでも聞いてやる」
言うだけ言うと、孝介は怯えきった女生徒達には見向きもせず出口へと向かう。一瞬だけ後ろに流し眼をやり、彼は呟いた。
「――次は、ないよ?」


街頭の少ない夜道を独りで歩きながら、孝介は腹の中に鬱積した苛立ちを吐き出すように大きく息を吐いた。
今日のようなことがあったのは初めてではない。最初は部活で遅くなった時にたまたま現場を見掛けて未遂に防ぎ、以降は陽介の上履きは孝介の下駄箱に一緒に入れさせている。こちらに来てからは特別捜査本部のメンバをはじめとする気持ちのいい人間とばかりつるんでいたので、ああいう人間の愚かな面を見せつけられると余計にやりきれなくなる。自分を含め、人は決して綺麗な生き物ではないと知っていたはずなのに。
(ああもう、腹が立つ)
ぐしゃり、と苛立ち紛れに孝介は前髪を掻き上げた。正義の味方を気取るつもりもないし、他人を負かすことに悦びを感じる性質でもない。誰も傷付かずに、傷付けずに済むのならばそれが一番いいに決まっている。だが自分は皆が思っているほど寛容でも聖人君主でもない、大切なものを守るためならどこまでも冷徹に、冷酷になれる狭量な人間なのだ。だから名前程度しか知らない女生徒の涙を見ても心が揺らぐことはなかった。
朧月に右手を翳す。握り続けた剣のせいで豆だらけになった手は、稲羽にくる前よりも少し大きくなったように感じた。けれども、大切なものを守り切るにはまだ足りない。物理的な攻撃からは守れても、人の口に戸板は立てられない。ジュネスで陽介に度を越した理不尽な要求をぶつけてきた女子達のように、口さがない者の言葉で陽介が傷付くのを、孝介は歯噛むことしかできない。腕の中に閉じ込めて目を覆い、甘い言葉で耳を塞いでしまえば痛みから遠ざけられるかもしれないが、何よりも陽介自身がそれを嫌がるのだ。彼女はとても真っ直ぐで、痛みが待っていると分かっていても自分の足で前に進もうとする。その姿ごと愛した孝介に、彼女の歩みを止めることなどできはしない。ならばせめて、彼女が躓いた時にすぐ横で支えられるように寄り添い、露払いをしようと心に決めていた。
(でも、最近は隣にもいさせてくれないんだけどね)
陽介が特別捜査隊女子の助力を得て、女らしくなろうと努力しているのを知っている。孝介が愛したのは花村陽介であって、今のままでも十分に魅力的だが、彼女は恐らく自分のために変化を受け入れようとしてくれている。一緒にいられる時間が少なくなることは寂しいしが、今は見守るべき時だと理解していた。ただし理性と感情は別物で、あのやわらかな肌に触れたくて、あまい唇を思う存分貪りたくて、そろそろ我慢が効かなくなってきている。白いシーツの海に横たわった恋人のあられもない姿を思い出し、孝介は口元を押さえた。
「そろそろホント、限界なんだけどなぁ…」
青少年の悩みを嘲笑うかのように、遠くで犬の遠吠えが輪唱していた。




**********




月曜日は雨だった。
今日は特別捜査隊女子による特別講座は休講で、久々に孝介と帰る約束をしていた陽介は、部室に忘れ物をしたという彼に付き合ってバスケ部の部室にいた。体育館の横にあるプレハブ小屋の一室は、想像していたよりも片付いていて陽介は軽く驚く。年期の入ったロッカー、適当に置かれた長机とパイプ椅子は、いかにも公立高校の部室、つまり金をかけていない感じがした。
「思ったよりキレイなんだな。海老原さんが片付けてくれてるのか?」
孝介は苦笑して頭を振った。
「残念ながら、片付けたのはオレと一条だよ。海老原はこういうの得意じゃないし、そもそも男臭いからってここに近付かないし」
校内でも美人と名高いマネージャーと孝介が、よい友人であることは聞かされている。だが彼の口から他の女子の名前が出てくることに面白くないものを感じている自分に気付き、陽介は内心溜息を吐いた。
(どんだけ心狭いの、俺。…ホント、女々しくなったな)
「お、あった。やっぱりここだったか」
孝介はロッカーの中から文庫本を取り出し、鞄に仕舞う。聞けば吹奏楽部の後輩に貸す約束をしたらしい。談笑しているところをちらりと見たことがある可愛らしい一年の姿を思い出し、陽介の胸はちくりと痛んだ。建てつけが悪いのか大きな音を立てて扉を占めると、振り返った孝介は陽介ではなく窓の外を見た。
「雨、結構すごいな」
外は土砂降りと言っていいほどの雨量で、雷まで鳴りだしたのか空の上からはゴロゴロと低い唸りまで聞こえる。風も強く、粗末な小屋の壁が時々キシキシと軋むほどだ。ここに来た時よりも確実に酷くなっている。傘は持っているが、この天気では大して役に立たず、家に帰るまでにずぶ群れになってしまうだろ。
「そうだな。ちょっと雨宿りしてくか?風強いから雷雲も早く流れて行きそうだし」
雨が礫のように打ち付ける窓に手を置いて陽介は言う。まだホームルームが終わってから然程経っていないのに、辺りは真っ暗になっていた。遠くで稲光が見える。
「あ、雷」
雷は好きだ。自分に落ちる危険がある場合はそんな悠長なことを言ってはいられないが、安全な場所で見ている分には綺麗だと思えるし、わくわくさえする。ぺたりと窓に張り付き遠くの空に目を凝らしていた陽介のすぐ後ろに、いつの間にか孝介が立っていた。
「こ――」
ガラス越しに映る彼の真摯な顔に、陽介はどきりとしてしまう。背中に温もりを感じたかと思うと、そのまま壁に押しつけられ、彼の腕という檻の中に閉じ込められる。片口に熱い吐息があたり思わず体が震えた。
「…ねぇ、陽介」
いつもよりも低い声。それだけで背筋がぞくぞくとするが、陽介は上擦りそうになる声をなんとか抑えて先を促す。
「な、なんだよ」
「昨日、一条と何してたの?」
「…へ?」
陽介はその大きな瞳を瞬かせた。昨日は雪子達と沖奈に買い物に行き、ちょっとしたトラブルがあって一条に助けてもらい、帰り道が途中まで一緒だっただけだ。だが事情を知らない孝介からすれば、自分の誘いを断ったくせに一条と遊んでいたように思えるだろう。自分が同じことをされたらものすごく落ち込んでしまうし、何より、孝介を蔑にしていたと思われたくない。
「な、何もしてねーよ!沖奈で偶然遭って、その、ちょっと色々あってあいつに助けてもらって、帰り道がたまたま一緒だっただけだって」
必死に弁明する陽介の耳に、息を吹き込むようにして孝介は言う。
「ふーん。その「色々」がものすごく気になるんだけど、詳しく聞かせてくれる?」
「…や、その……ナンパ?されただけだから。丁度皆が周りにいなくて、しつこい奴で困ってたんだけど、そしたらたまたま買い物に来てた一条と長瀬が――」
孝介は言葉をの途中で、力づくで陽介の体を反転させて強引に唇を奪う。突然のことに思わず抵抗しかけた陽介だったが、圧倒的な力で壁に縫い止められ身動ぎすらできなかった。固くて大きな孝介の手と、すっかり細くやわらかくなってしまった自分の腕。どんなに望んでも覆せない、性別という体の構造の違い。孝介が男で、自分が女だということを嫌でも思い知らされる。
「ちょ、孝、介」
男の時でさえ本気になった彼から逃げられた試しがないのに、女の今では成す術もなく流されることしかできなかった。舌を吸われ、刻まれた快楽を呼び起こすように項をなぞられれば、孝介が好きで好きでたまらない陽介の体は簡単に陥落してしまう。いつのまにか甘くなったキスを止め、白い糸を引きながら唇を離すと、まるで子供のように不機嫌そうな孝介の顔があった。
「…一条も長瀬も信用できる奴だし、陽介が浮気するなんて思ってもないけど。でも、他の男の話されるの、面白くない。オレのいない所でナンパされたなんて、ものすごく面白くない」
「えーと、その…」
陽介は顔を真っ赤にして視線を彷徨わせた後、ちいさな声で「嫉妬、してくれてんの?」と尋ねる。孝介はこくりと頷いた。嘘は好きではないし、第一、嘘を吐いても仕方ない。陽介は悦びに体が熱くなるのを感じた。
(俺だけじゃ、なかったんだ)
「ついでに、陽介が最近天城達とばっかり一緒にいて、オレに構ってくれないので寂しいです。そろそろ陽介が足りなくて限界です」
する、と熱い掌がスカートの中に侵入してくる。同時に、既に固くなりはじめているものを股の間に擦りつけられ、陽介は飛び上がった。
「っ!お前、こんなトコで」
「だって陽介だって分かるだろ。ちょっとの刺激で勃っちゃうお年頃なの。あれから一週間もしてないし」
陽介とて17年間男として生きてきたのだ、男の欲望は重々承知している。それに、男同士の時は数日に一回は体を重ねていたが、女になってからは一週間前の一回しかしていない。それでも不自由を感じていないことに、陽介は女はセックスがなくても生きていけるというのは本当だったのだと妙に感心した。
孝介の動きはどんどん大胆になり、長い指が下着の中に侵入してくる。まだ何の反応も示していない芽を指でなぞられ、陽介は体を強張らせた。
「な、なぁ。ここでやんの…?」
「ダメ?今すぐ欲しい」
情欲に濡れた瞳とは裏腹に、やけに可愛らしく小首を傾げられ、陽介の心はぐらりと揺らぐ。けれども保守的な彼女はそう簡単に頷けるはずもなく、流されることを期待しながらも反対の意を口に載せていた。
「でも、学校だし、誰か来るかもしれないし」
「大丈夫。こんな大雨の中、わざわざ様子を見にくる奴なんていないよ。それに、こうしちゃえば」
孝介は体を離すと、カーテンを引いて電気を消し、内側から鍵を掛けた。
「誰も来ない。…おいで、陽介」
闇の中でシルバーグレイとお揃いの瞳が浮かび上がる。陽介は魔法にかかったようにふらふらと歩き出し、差し出された腕に抱き付いた。

深い深いキスでとろとろに溶かされた後、互いの上着を脱がし合う。二人分の服を長机の上に投げ置き、孝介はぺろりと唇を舐めた。
「陽介、かわいい。…ねぇ、最近綺麗になったのって、オレのためって自惚れてもいいの?」
陽介は暗闇でもはっきりと分かるほど頬を染め、自棄になって言う。
「っ、そうだよ、バカ!だって、早くお前に吊り合うようになんないと…」
孝介は浮かび上がる白い肢体を抱き締めて囁く。
「ありがとう。すごく嬉しい。でもね陽介、吊り合うとか吊り合わないとか、そんなのは回りが勝手に思ってることで、オレがお前のもので、お前がオレのものだってことは変わらないんだから。それだけは覚えておいて」
「う…ん」
あどけなく頷く彼女が愛おしくてどうしようもなくて、孝介は抱く腕に力を込める。
「陽介がどんどん綺麗になるから、心配。オレのものだってちゃんと印つけておかないと」
「あっ、バカ、痕つけんなっ」
抗議を無視して孝介は陽介の体中にキスマークを付けてゆく。鎖骨、手首、太股と、服で隠れるギリギリのラインに、まるで見せつけるかのように。所有印を刻んで満足した孝介は、胸の頂を隠していた邪魔な布を取り払う。触られてもいないのに尖ったピンク色の突起を口に含めば、彼女は切なそうに体を震わせた。
「ふっ…んっ」
「声、我慢しなくていいよ。どうせ外には聞こえない」
雷はどんどん近くなっている。打ち付ける雨音は五月蠅いほどだ。陽介は熱に浮かされたようにとろりとした瞳で頷いた。
やわらかな双丘を思う存分愛撫し、陽介が自分の足で立てなくなって縋ってきたのを見計らって、孝介は彼女を近くの壁に押し付けた。既にはち切れそうなほど尖っている己のものを取り出し、忍ばせておいたコンドームを被せると、戸惑っている陽介に命じる。
「下着脱いで。スカート持ってて。見えない」
「…や、だ、恥ずかしい…」
いやいやをする陽介に宥めるようにキスをしつつ、孝介は下着の端から蕾に指を侵入させる。しっとりと濡れたそこは彼女がしっかりと感じていることを教えてくれた。指が動く度に聞こえる粘着質な音に陽介はたまらない羞恥に襲われる。耳をふさいでしまいたいのに、力の入らない体を支えるために孝介に縋るしかない。胸の尖りを悪戯に噛まれ、はしった刺激に思わず高い声が出た。
「ひ、あっ!」
「すっごいトロトロ…ねぇ、もう入れていい?」
孝介の指はどこまでも器用で、女の体ではまだ二回目だというのに自分の感じるところを的確に突いてくる。吐き出せない熱が蓄積され、快感と彼への思いがはちきれんばかりに体を支配している。手首を濡らすほどに溢れた自分の愛液を見せつけられるように舐められ、陽介は瞳を潤ませて懇願した。
「んっ、はや、く!」
片手を放し、スカートを自らたくし上げ、起立した孝介のものに腰を寄せる。孝介は息を飲むと、次の瞬間、陽介の腰を片足を抱え上げて下着をずらし、己のものを捻じ込んだ。
「や、あ、ああっ――!!」
下から突き上げるように何回も何回も感じる所を突かれ、陽介は声を抑えることも忘れて喘いだ。孝介は容赦なく腰を打ち付ける。嵐のような快感に流され、陽介は泣きながら達した。一度目とは違い、明確にこれが絶頂なのだと分かる。自分の体はもうすっかり女性のもので、しっかりと感じるようになってしまった。目の前の男にそうされてしまった。
(これで、いいのかな)
気持ちいいものは気持いい。だが、体に心がまだ完全には付いてゆけていない。愛されることに充足感を感じると共に、形容し難い不安が常に頭の片隅にある。しかし陽介の心とは関係なく、達した体は中に納めた孝介のものを締め付けてしまい、孝介はくぐもった声と共に弾けた。二人は繋がったまま、暫く無言で荒い息を整えていた。
「…も、抜いて…」
雷鳴は大分遠くなり、辺りは少しだが明るくなっている。雨足も弱まったようで、雨音は先程よりは小さくなった。孝介は名残惜しそうに陽介の中からまだ満足しきれていない己のものを引き抜くと、濡れた眦に唇を寄せて囁く。
「うち、行こう。陽介の家でもいい、ちゃんとお前を抱きたい」
「…程々に、オネガイシマス」
孝介に愛され続ければ、こんな不安を感じなくなる日も来るのだろうか――陽介はやさしいキスを受けながら、カーテンの隙間から覗く自分の心のように曇った空を眺めていた。




NEXT

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]