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彼と彼の日常

過去のweb拍手お礼小説サルベージです。
高校卒業後、ルームシェアしている大学生主花です。いわゆるイチャラブ。げろー

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一緒に暮らしているからといって、四六時中べったりしている訳ではない。
例えば陽介がテレビの前に座りこんでゲームに夢中になっている時、孝介はソファで読書に没頭している。孝介が部屋で模型作りをしていれば、陽介も自室で音楽を聞いていたりする。けれどもすぐ傍に相手の気配があるから不安になることはない。二人を隔てるのは最大でも十数歩の距離で、離れていた一年間とは比べ物にならないほど近い。
(でも、触りたいんだよなぁ)
レポートを片付け自室から出てきた孝介は、ソファの片隅に寄るようにして膝を抱え、雑誌を捲っている陽介の細い足首につい眼をやってしまう。三人掛けのレトロな白いソファは、ルームシェアという名目のついた同棲を始めてすぐに買ったもので、男二人で座ってもそれなりに余裕がある。堂々と占拠すればいいのに、陽介は無意識なのか意識してなのか、いつも孝介が座る右側を空けていた。小さくなって丸まるその様は、小動物のようで可愛らしい。そこに彼が存在することは目視で確認できるし、呼べば応えもあるのに、ついつい触って確かめたくなってしまう。
(だってここのところ、あんまりゆっくりできなかったし)
レポートやアルバイトが重なり、ここ数日は朝食を一緒に摂るのがせいぜいのすれ違いが続いていた。たかが数日で寂しさを感じてしまう自分の堪え性のなさに孝介は苦笑してしまう。今思うと高校三年の一年間はよく耐えられたものだと自分の忍耐力を誉めてやりたくなった。
「…何、にやにやしてんの」
いつの間にか雑誌から顔を上げた陽介が、不審な目でこちらを見上げている。なんでもない、と返せば、まだいぶかしみながらも再びページを繰りはじめた。
「レポート、終わったのか?」
「うん。今日の夕飯、何にする?久々に手の込んだものでも作ろうと思うんだけど」
「何でもいーよ。つか、お前もレポート明けで疲れてんだろ。俺も手伝うし、簡単なもので別にいいからさ、ちょっとゆっくりすれば?」
陽介は雑誌に夢中のようで、雑誌から顔を上げずに交わされる会話に孝介は面白くないものを感じる。構って欲しい、触りたい。陽介が、足りない。孝介はやおらソファの前に敷いた毛足の長いラグの上に横になると、陽介に向って腕を伸ばした。
「陽介」
「んー」
「陽介」
二度目の呼びかけで顔を上げた陽介は、ラグにひっくり返って至極真面目な顔で腕を広げている男にかけるべき言葉が見当たらなかった。沈黙が部屋を支配するよりも早く、孝介が真剣な声で言う。
「さあ、構え。構われる準備はできている」
「…………お前………格好悪ィ……」
はぁ、とひとつ大きな溜息。それはスタンスだ。陽介は雑誌をソファの左側に投げると、立ちあがって――孝介の腹の上へダイブした。
「ぐっ…!」
「俺も構ってやる準備はできてるぜ!お望み通り、存分に可愛がってやるよ!!」
「陽介…その言い方、オヤジ臭いぞ」
「うるせぇ!お前の方がエロオヤジじゃねーか。この間だって…」
言いかけた陽介は墓穴を掘ったことに気付いたのか、慌てて口を噤む。けれども時既に遅しで、組敷いた男はにやにやと性質の悪い笑みを浮かべていた。
「あの時の陽介、すごい可愛かったよな。ああ、思い出したら勃ってきた」
すり、と太股に固いものを擦りつけられ、陽介は悲鳴と共に腰を浮かせる。もう数えきれないほど体を重ねたのに、いつまで経っても初な反応な好ましいが、今のは少し傷付いた。孝介は拗ねた顔で呟く。
「失礼な。コイツでお前をいっつも気持ちよくしてあげてるのに」
「だから!そういうところがエロオヤジだって言ってるの!」
更なる文句を繰り出そうとした陽介の口は、腹筋の力だけで上半身を起こした孝介のキスによって塞がれる。いつの間にか片腕は頭の後ろに回されていて、当たり前のように口内に差し入れられる舌に、やはり当たり前のように自分のものを絡めてまう。熱い滑りとざらつきに、じわじわと熱が湧きおこってくる。目眩がしそうなほどの幸福に、陽介はうっとりと目を閉じ酔いしれた。ちゅ、と音を立てて顔を離した後、すっかり蕩けた表情の陽介の髪を撫でて、孝介は問うた。
「ベッドまで、行ける?」
ふるふると首を振る陽介の体を自分の上から退かすと、孝介は細い体をひっぱり上げるようにしてソファに埋める。白い革の上に広がるハニーブラウンのように、彼はどこみかしこもとても甘い。だから食べずにはいられない。飽くことなんてきっとない。
「…ソファ、汚したくないんだけど」
目尻を赤くし、恥じるように目線を反らす様は誘っているとしか思えないのに、この後に及んで憎まれ口を叩く恋人の耳元で孝介はとびきり甘く艶を含んだ声を出した。
「大丈夫。オレのは全部陽介の中に出すから、陽介が溢さなければ汚れない。お前のは腹に出した後にオレが全部舐めてあげる。ああ、でもせっかくソファでやるんだから、やっぱり乗ってもらうのがいいかな。うん、そうだ、そうしよう」
一人で納得して早速行動に移り始めた孝介に、陽介は恨みがましく呟いた。
「………お前、やっぱ、エロい…!」
孝介は眼も眩むほどの笑顔で答えた。
「光栄です」




END

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