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「スターゲイザー」サンプル ※R18

※R18、陽介女体化(後天)注意
インテで無料配布いたします。うっすいのでサンプルもちょっとだけですが。陽介一人称です。


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俺達はまだ高校生で、できないこと、しちゃいけないこと、たくさんある。
そんな時、つい言っちゃうよな。「大学生になったら」って。
でもさ、ほんとに大学生になったら、できるようになるのかな?
今度は「大人になったら」って、先延ばしにするんじゃないのかな?
じゃあさ、大人になっちゃったら。その先は、どんな理由をつけて諦めればいいんだろ?




 年が明けて、一月になった。
 後味は決して良くないけど、真犯人は掴まり、八十稲羽を包んでいた霧は晴れ、俺たちは普通の高校生に戻った。
 菜々子ちゃんも堂島さんも、もうちょっとしたら退院できるらしい。マヨナカテレビももう映らないし、平和で退屈な田舎町の日常が戻ってきた。
 こう言っちゃなんだけど、俺を含め特別捜査隊の奴らはみんな、ちょっと暇を持て余している。だって事件を追っている最中は本当に忙しくて、学校のことや家のことをやりくりしながらテレビの中に入るのは大変だった。そんな密度の濃い生活からいきなり解放されたから、何していいのか分かんないんだ。里中なんか今日の昼休み、相変わらず肉気の多い弁当をつつきながら、「ふきんしんだけど、ヒマだね」って言ってた。皆もふきんしんだとは思いつつ、頷いてた。
 そう、時間はある。でも、永遠じゃない。限られてる。だから俺らはわずかな時間を惜しんで、親の目を盗んで、セックスしている。

 「……ん…」
何かに急かされているような気がして、俺は目を覚ました。ぼんやりしたのはほんの二、三秒、はっとして枕元に置いてあるはずの携帯電話を掴もうと手を伸ばしたけど、そこには何にもなかった。代わりに、背中から腰にかけて眠りを妨げるのに十分な重みが、背中には心地よいぬくもりがある。
 腹に回された、まだ大人にはなりきってない、でも、俺よりは全然太くてしっかりとした腕。俺はようやく、孝介とそういうコトをして、そのままうとうとしてたんだっていうのを理解した。
 カーテンを締め切った部屋は薄暗い。日ははだ完璧には落ち切ってないみたいだけど、もうちょっとしたら真っ暗になる。冬の日暮れは早いから。ベッドサイドに置いてある目覚まし時計を見れば、時刻は五時になろうとしている所だった。俺はほっとした。まだクマや母さんが帰ってくるまでは一時間くらいある。
 鍵はかけてるけど、万が一踏み込まれたら、床に散らばる二人分の服や、後始末をしたティッシュやらゴムやら、それに、素っ裸で同じ布団に包まっているこの状況じゃ、言い逃れなんてできやしない。ただでさえ、息子が娘になるというトンデモ体験をさせてるのに、本人はとっとと割り切って男とセックスしてました、なんて親が知ったら卒倒しちまう。いや、割り切ってないけど。全然割り切れてないけど。
 今だって俺のジェンダーはあいまいだ。体は女、心は徐々に女になっているけど、多分殆ど男のまんま。こんな中途半端な俺でも、孝介が欲しがってくれるから、俺も孝介が欲しいから、俺たちはセックスする。今日も学校が終わってすぐ俺ん家に来て、部屋に入ったかと思ったら速攻でベッドの上に押し倒されて、恥ずかしいコトいっぱいされた。…きもちよかったけど。
 俺はすぅすぅと寝息を立てている孝介を起こさないよう、慎重に腕を外して、ベッドから出た。こいつが俺のベッドで寝ているのは、なんだかすごく幸せでくすぐったい気分になる。だってあの月森孝介がだぞ? コドモみたいなあどけない顔して、ちょっと手足を丸めて、しかも何にも着てない。大事な部分もまる出し。ものすごく無防備。それだけ俺たちは特別な関係だって証明みたいだ。
 このままでいたいけど、あんまりゆっくりはしてられない。親が戻る前に片付けしとかないと。
 俺が女になって、孝介と付き合うのに何の障害もなくなったけど、二人っきりでいられる時間はハッキリ言って激減した。年頃の男女が密室でやることといったら一つでしょ、的な世間の目があるからだ。事実そうなので何も言えないのですが!
 本当は、家族が誰もいない時に、家に孝介を呼ぶのは控えろって言われている。変なウワサが立って傷付くのは自分達だって。親がいる時でも、部屋のドアは開け放しておくか、リビングにいなさいって。ごめんな、親父、母さん。あと堂島さんと、孝介のご両親も。オトナの言うことが正しいっていうのは分かるよ、でもどうしようもないんだ、ガマンできないんだ。だってもうあんまり時間がない。あいつは三月には帰っちゃうんだから。
 「うー、さむっ」
最中に暑くなってエアコンを消したため、部屋の中は冷え切っている。どっかに吹っ飛ばしたエアコンのリモコンを探す間も寒くて仕方がなくて、とりあえず足元に落ちていたあいつの学ランをはおった。ちょっとどきっとした。だってあいつのにおいがして、あいつに包まれてる感じがしたから。
 無事にリモコンを発見し、スイッチを入れて、部屋があったまるのを待つ。ふたりぶんの体温でぬくまったベッドに戻ろうと思ったんだけど、なんとなく、本当になんとなく、俺はドアの近くに置いてあるスタンドミラーの前に立った。そんで、最近ようやく慣れてきた自分の体を映してみる。
(女、だよなぁ。どっからどう見ても)
 鏡の中には、不安そうな顔をした、まだ大人とは言えない女が一人。裸に学ラン一枚というちょっとアレな格好だが、この際気にしないでおく。
 背は縮み、肩幅は狭くなり、手足も細くなった頼りない体。男のものがなくなって、胸が出て、尻も出っ張った。男とは、孝介とは全然違う。服のサイズはそんなに変わらなかったはずなのに、肩に掛けた学ランは太股まで届く長さだ。俺は自分で、女であることを選んだ。もう戻れないんだと分かってはいるけど、やっぱり心がついていけない。こうやって、男女の違いを感じた時、どうしようもなくもやもやする。
 俺は自分で自分の胸――女の象徴みたいな部分を触ってみた。男の象徴は言わずもがなのあそこですが。むにゅっとした、弾力があるようなないような、不思議な感触。「胸って流動性脂肪なんだよ。薄皮一枚で支えてるから、ちゃんと固定しとかないとすぐに形崩れしちゃうんだ。だからオレが持っておいてあげるね」とか言いながら、あいつはとにかく俺の胸に触りたがる。もちろん、触るだけでは済まされない。さっきも散々、揉まれて、摘ままれて、舐められて、噛まれて、吸われたりした。男の時も、あいつがあんまりしつこくこねくり回すもんだから、乳首でも感じるようになっちまったけど、女の体はやっぱり違う。最初っから、それはもう感じまくった。
 胸だけじゃない、あそこもだ。まるで図ったようなタイミングで、どろり、と恥ずかしい液体が零れ出してきて、股を伝う。ゴムにくっついてたのと、あと、孝介に触られると出てきちゃう、官能小説的に言うなら、蜜とか愛液とか、そういうの。女のカラダが濡れるんだっていうのは知ってたけど、男の時はローションがないとかなりきつかったから、自分がなってみてその違いに驚いた。やっぱり、男と女は、ちゃんと抱き合うようにできてるんだって。
 だから、不安になる。男同士の時から始まっていた俺たちの恋愛は、どっか間違ってるんじゃないか、ってさ。俺の気持ちと孝介の気持ち、通じてるのは分かってる。けど、俺はちゃんとした女じゃないから。上手く言えないけど、怖くなるんだ。
 いつか、何にも疑問に思わなくなるのかな。なるんだろうな。今だって、何にも違和感なしに女子トークに混じってる自分に後で気付くし。それがいいのか、悪いのかは、正直よく分かんないけど。
「――制服、返してもらえませんか」
 にゅ、と後ろから腕が伸びできて、俺は掴まった。いつの間に起きていたのか、下だけ履いた孝介が俺の背後にぴったりとくっついて立っている。鏡越しに見えたあいつの顔はまだ寝起きって感じで、ちょっとぼんやりしてて、でもそこがかわいかった。きゅうと抱き締められ、首筋に熱い息があたる。
「どうしたの?」
 心配そうな声。そりゃ、こんな格好で物思いにふけってたらどんだけ深刻な悩みかと思うよな。俺は慌てて否定する。
「や、別になんでも」
「なくないだろ。そうやって溜め込んで欲しくないって何度言ったら分かるの。…言えないなら、無理には聞かないけど。話せるなら、話してよ」
 あいつの涼しげな声がじんわりと脳に染み込んでいく。俺は力を抜いて、見た目よりもしっかりした胸板に体重をかけた。
「ホントに、たいしたことじゃ、ないんだ。ただ、まだ、違和感あるなーって」
「そっか。違和感の解消に、オレが手伝えること、ある?」
「うーん、多分ない…と思う。自分でもよく分かってないから。慣れるしかないんだろうな」
 そう言って笑うと、孝介はいきなり俺の耳を食んだ。耳は弱い。思わずびくんと体を跳ねさせた俺に、あいつはお綺麗な顔にヒワイな笑みを浮かべる。
「デート、行こうか。なんだかんだで陽介がその体になってから、二人だけで遠出したことないだろ」
「女の体に慣れる練習ってこと?」
「そう思ってくれても構わないけど。オレは陽介と出掛けたいなって。だめ?」
 真面目な話をしてるはずなのに、あいつの大きな手が胸を包んだ。そして明らかに他意のある動きで揉み始める。
「あッ、ちょ、だめ、だって。もう時間が」
「まだ平気だよ。そんなにしつこくしないから」
硬いものが尻にあたり、俺は思わず悲鳴を上げた。がっちがちだ。あいつはぞくぞくするくらい濡れた目をしていて、俺もなんていうか、その、やらしい顔、してた。俺は諦めて、くるりと体を反転させ、あいつの首に抱き付いた。




 時間がない。どんなに濃厚な一時を過ごしたって、帰る家は別にある。
 家族だって友達だって大切だけど、早く大人になりたい。

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