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明日美さんより10万ヒットお祝い小説 ※頂き物

しゅはなーなチャットでお世話になった明日美さんから頂きました、素敵な主花小説です!どうもありがとうございますー!!
かわゆい陽介とべろべろに甘いセンセイにときめきまくりです…!

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 ちちち、と鳥の声が聞こえた気がして、ううん、と陽介は唸った。起きなきゃいけない、という理性と、起きたくない、という本能の戦闘は長引くばかり。このままだと時間切れという実質理性の敗北が確定してしまいそうだった。いやいやだめだ、もう何日敗北してるんだ俺の理性!
 連敗記録ストップのため、がばりと陽介は体を起こす。途端思い切り痛みを訴えた腰を支えて、うずくまるハメになった。さわやかな朝の光が眩しくてちょっと切ない。
(…いっつ…!な、なんでこんな痛えんだ…!)
記憶を辿ってみると、思い起こされるのは幸せだけれども恥ずかしいわ居たたまれないわの出来事ばかりで、あああ、と思わず頭を抱えた。抱えた拍子にまた腰が痛い。
 現実逃避にまた横になって布団に潜り込めば、ふと左手の薬指、きらりと光る指輪が目に入って、陽介は自然と微笑んだ。
 がちゃり。
「おはよう」
「のわぁあ!?」
「起きてる…みたいだな」
いきなり響いた低い、けれど温かい声に思わず奇声を上げれば、声は笑いを含んだものになる。文句を言おうと顔を上げ、しかし反射的に彼の左手に目が行ってしまい、恥ずかしいようなにやけるようなで、陽介はぐりりと顔を枕に押しつけた。
「起きてません」
「そう?なら、朝ご飯しまっておくけど。今日はフレンチトーストとサラダ、コーンスープに目玉焼きと鮭のソテー」
「食べる!」
羅列された食べ物が、そしてその味が脳裏に思い浮かんでしまえば、陽介に拒否などできはしないしする気もない。起きあがれば、いつのまにか目の前にきていた男は、ちゅっ、と可愛らしい音をたてたキスをして、にっこりと、愛しさを溢れさせた笑顔で笑っていた。
「おはよう、陽介。俺のおくさん」
「…まだ婚姻届出してねぇけどな」
「すぐ行くだろ」
もう一度、降りてきた唇に、今度は口内を食いつくさんとばかりに貪られて、まだ動ききらない頭がそれでもやばいと信号を送る。
 ずくり、と下腹部に熱がこみ上げるのが嫌でもわかった。
「は…、ば、か孝介!朝から何盛ってんだよ!」
「駄目?」
「…あ、朝飯!」
「食べ終わるまで、待てる?」
ゆらりと、明らかな意図を持って腹を撫でおろされて、それだけで疼く自分に陽介はちょっと泣きたくなる。
「どうしても嫌なら仕方ないけど…俺は、陽介が欲しい」
それでも、情欲に塗れたグレーの瞳に見つめられ、求められれば、陽介には断る術も、意思もないのだ。
「…お手柔らかに、オネガイシマス」
ちちち、と鳥が鳴いているのを、聞いていられたのはそこまでだった。

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